訪問介護員の高齢化

高齢になって介護を必要としても、自宅で過ごしたいという人は多く、在宅サービスでは訪問介護の利用者が伸びています。2023年4月時点の利用者は108万7,900人と、10年前に比べて19%増えています。通所介護は116万1,600人で、10年前より1.7%減っています。
自宅で高齢者をケアする人も高齢化が進んでいます。介護労働安定センターの2022年度の実態調査によれば、訪問介護員の平均年齢は54.7歳と、調査を始めた2002年度以降で最も高くなっています。訪問を除く介護職員の平均より7.4歳上です。65歳以上は26.3%、70歳以上も13.5%に達しています。仕事の厳しさから若い職員が集まらず、ベテランに頼っています。
背景には人材難があります。厚生労働省の介護サービス施設・事業所調査によれば、2021年10月時点での訪問介護員は51万人強です。52万人強だった2018年より減っています。ホームヘルパーの2022年度の有効求人倍率は過去最高の15.53倍で、必要な人材を確保できていません。
団塊の世代が後期高齢者に入り、介護保険の給付は一段と増えると見込まれます。待遇を改善して担い手を確保し、効率の良い介護サービスに変えていかなければ、制度の持続性が失われかねません。

(2023年8月24日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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