日本の研究力の低迷

日本の研究開発力の低迷が続いています。文部科学省が発表した科学技術指標2023によれば、注目度の高い論文数(トップ10%論文)の国別順位で、日本はイランに抜かれて13位に下落しています。
日本は総論文数では7万775本で5位ですが、トップ10%論文をみると3,767本で13位に落ち込んでいます。一方、中国は総論文数が46万4,077本で1位、トップ10%論文でも5万4,405本と、3年連続で世界一を維持しています。
日本は研究開発費、研究者数とも米中に次ぐ世界3位につけています。しかし、注目度の高い論文では順位を下げています。その理由として、①研究開発費の伸び悩み、②研究時間の減少、③大学院博士課程入学者数の減少、④研究者のネットワーク不足が考えられています。
博士課程への進学が敬遠される背景には、待遇の差があります。海外では授業料無料で、給料が支給されるケースが多くなっています。日本では、国立大学ですら年間53万円の授業料がかかります。博士号取得後も、大学や研究機関では任期付きのポストが多く、安定した職に就きにくくなっています。政府は、10兆円ファンドによる国際卓越研究大制度を打ち出し、研究開発力の復活を急いでいますが、支援するのは数校にとどまっています。

(2023年8月26日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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