欧州の強欲インフレ

欧州で高インフレが収まっていません。前年の伸び率は日米を上回っています。企業が価格転嫁や便乗値上げで積み上げた利益が、インフレ要因の5割を占めるとされています。物価高に賃上げが追いつかず、消費の弱さにつながっています。欧州では、企業が不当に販売価格を引き上げている疑いが浮上しています。Greed(強欲)とInflation(物価高)を組み合わせた造語であるGreedflation(強欲インフレ)が叫ばれています。先進国は、長らく高インフレと無縁でした。米国でインフレが鈍化する中、欧州の高止まりは目立っています。伸び率が15カ月連続で10%超に達しています。

国際通貨基金(IMF)によれば、欧州物価高の要因のほぼ半分は、企業利益の増加が占めてきています。2022年のインフレ寄与度を要因分解すると、企業利益が45%で、輸入コストの40%を上回っています。

OECDによれば、各国の労働コストや企業利益を計算しています。2023年1~3月期とコロナ禍前の2019年10~12月期を比べたところ、ドイツでは企業利益が24%持ち直したのに対して、労働コストは13%増にとどまっています。欧州の大半は同様の傾向です。一方で米国は利益の増加よりも、人件費増加が大きくなっています。欧州企業は批判を受けて、従業員待遇の改善に本腰を入れ始めています。

(2023年8月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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