AIによる病気の予兆の検知

病気の予兆やその進行状況を指標化できる健康データを、デジタルバイオマーカーと呼びます。スマートフォンやウェアラブル端末の普及に伴い、以前であれば医療機器で計測したようなデータも手軽に取得できるようになりつつあります。日常的な健康データから、AIで病気の予兆を探すスタートアップのサービスが広がってきています。国内市場は、2027年に165億円と2021年の6.6倍に拡大すると予測されています。
不調の兆しを早期発見できれば、健康寿命の延伸につながります。厚生労働省によれば、2019年時点の平均寿命は、男性81.4歳、女性87.5歳です。健康寿命は、男性72.7歳、女性75.4歳です。政府は2040年までに、男女ともに健康寿命を2016年比で3年以上延ばす目標を掲げています。
医療現場では医師の偏在が課題の一つです。厚生労働省によれば、人口10万人当たりの医師数は最も多い徳島県が338.4人で、最も少ない埼玉県は177.8人です。医師不足に悩む現場にとってAIによる業務効率化の重要性は高まっています。医師不足に悩む医療分野でのAI活用は、医師不足に悩む現場の課題解消につながる可能性があります。
日本は少子高齢化に歯止めがかからず、健康を維持するための医療費は増え続けています。病気の予防や健康寿命の延伸は喫緊の課題です。スタートアップが担う役割は小さくありません。

 

(2023年9月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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