看護師確保のために

超高齢化社会を迎え、医師と同時に看護師の不足が一段と深刻になっています。新型コロナウイルス禍でも大都市圏を中心に危機感が広まりました。全国の人口10万人あたりの看護師は1,241人で、1,800人台のフィンランドやノルウェーに見劣りしています。しかし、看護師数はドイツや米国より多く、絶対数の不足というより地域格差が問題となっています。
都道府県別では、高知県が2,070人と病床数が多い西日本の自治体が相対的に多くなっています。2022年度の看護師などの有効求人倍率も愛知県が2.80倍、東京都が2.70倍と、大都市の不足が目立つのに対し、高知県は1.25倍にとどまっています。全国平均の正規雇用の看護職員の2020年度の離職率は10.6%と、全業種平均よりやや低いのですが、高知県は7.8%とさらに低率です。
看護師確保で先行する地域は、養成学校が多いうえ離職率も低い傾向があります。佐賀県は養成学校が人口あたりで全国最多で、離職率も7.2%と低くなっています。高齢化でニーズが高まる訪問看護に対応できる人材確保をすると同時に、働き方の選択肢を広げることが必要です。全国で約70万人とされる資格があっても離職中の潜在看護師の、復職に向けた対応も大切です。子育てや待遇などを理由に離職する人たちを減らす必要があります。

(2023年9月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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