小児期の逆境体験の影響

法務省の犯罪白書によれば、少年院在院者のうち、家族からの暴力や家庭内の飲酒問題といった逆境体験をした割合が、87.6%に上ることが明らかになりました。非行の背景に、幼少期の過酷な経験が影響している可能性があります。調査では、18歳までに家族から暴力を受けたり、家庭内にアルコール依存症者や受刑者がいたりしたといった、小児期逆境体験と呼ばれる経験の有無を聞いています。
在院者の61%が、家族から殴る蹴るなどの暴力を受けています。性別でみると、男子508人のうち59.6%、女子56人のうち73.2%でした。家族から傷つくような言葉を言われるといった精神的暴力を受けた割合も43.8%に上り、男子は40%、女子では78.6%に上っています。こうした暴力を含め、何らかの逆境体験をした割合は、男子が86.8%、女子は94.6%に達しています。逆境体験は、心身の健康に影響を及ぼし、トラウマになるとされます。
白書では、例年と同様、再犯の状況も公表されています。昨年の刑法犯の検挙者は16万9,409人で、このうち再犯者は8万1,183人です。再犯者率は、前年から0.7ポイント減の47.9%でした。過去最悪だった2020年の49.1%からは低下していますが、高止まりしています。

 

(2023年12月9日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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