小児がんに未承認薬の使用

海外の小児がん治療薬が、日本では未承認のために使えないことが多く、ドラッグ・ラグ、ドラッグ・ロスの問題が生じています。大人には使えるのに子どもに使うことが認められていないがん治療薬を、小児がん患者に投与する臨床研究を来月から始めます。当初は国立がん研究センター中央病院のみで実施します。小児がん診療の実績が豊富な全国5か所の大学病院を候補に、実施する医療機関を広げ、使える薬の種類も増やす予定です。
小児がんは、15歳未満で発症するがんの総称で、年2,000人~2,500人が新たに診断されます。公的医療保険では有効な治療法がない、脳腫瘍や悪政軟部腫瘍などの29歳までの患者を対象に行います。従来の抗がん剤と比較して、有効性が高く副作用が少ない分子標的薬を使用します。がん細胞の遺伝子変異を調べる検査を行い、準備したトラメチニブなど5種類の候補薬の中に、効果が見込める薬があった場合などに投与します。
日本では小児がんと診断される患者が少ないことや治験の環境が不十分なことなどから、小児がんの治療薬の開発が進んでいません。2000~2022年に米国で小児がんに対して承認された薬は40ありましたが、日本では24が未承認または適応外でした。これまで使いたい薬を使えずに亡くなったり、やむなく個人輸入したりする患者もいました。必要な薬を必要な時に使えるようになれば、治療の選択肢を増やすことにもつながります。

(2023年12月22日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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