iPS細胞による視細胞移植

 光は網膜の中の視細胞が感じ取り、脳につながる神経に信号を送ります。視細胞は、信号を脳に伝える神経の層とこれらの活動を支える色素上皮細胞の層に挟まれており、体内で新たに作られないため、病気で壊れると視力を失ってしまいます。iPS細胞から作った視細胞を失明したマウスの目に移植し、実際に光を感じさせることに成功しています。
 理化学研究所のグループは、マウスのiPS細胞から未熟な状態の視細胞を作製し、視細胞を失ったマウスに移植しました。移植から1カ月以上たったマウスの目から網膜を取り出して調べると、視細胞が移植先の神経とつながり、光をあてると信号が流れることも確認できました。マウスの行動テストでも、約4割が光に反応することがわかりました。ヒトのiPS細胞から作った視細胞の効果や安全性を動物で確認できれば、遺伝が原因で視細胞が壊れる網膜色素変性の患者で臨床研究を始めることにしています。

(2017年1月11日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。