シンガポールの子育て支援拡充

 シンガポールは合計特殊出生率が2025年に過去最低の0.87となり、前年の0.97から0.1ポイント下がりました。0.8程度の韓国や香港と並び、世界で最も低い水準です。政府は少子化対策に取り組んできましたが、出生率低下の歯止めになっていません。経済支援の大幅拡充でてこ入れを図ります。

 児童手当に当たる子ども向けの経済支援策を刷新して支給額を増やします。子どもが0~17歳の間に1人あたり合計で最大約7万シンガポールドル(約870万円)を支給します。1歳までに現金支給するベビーギフト(1万シンガポールドル)や、1~16歳まで年間2,000シンガポールドルを現金支給する児童クレジットなどを新設します。現行制度と比べ、第1子の場合で約4万2,000シンガポールドル多く受け取ることができます。

 育児休暇はこれまでの年2~6日を年8~12日に拡大します。シンガポールは、他国と比べ年間の日数は多くないものの、対象年齢の幅が12歳までと広いのが特徴です。子どもが3人いる場合、夫婦で12日ずつ合計24日の取得が可能となります。日本の幼稚園や保育園にあたる、未就学児向けプリスクールの利用料金も2030年までに現在の半額以下に引き下げるとしています。

 シンガポールを始めとする東アジアの国々は、日本と同様に出生率の低下に苦しんでいます。児童手当などの拡大によって、出生率の反転を期待していますが、子育て支援策の拡充のみでは、わが国のこれまでの状態考えると難しいと言わざるを得ません。

(2026年8月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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