スタートアップのハブ構想

 1万社規模のスタートアップ企業が集まる東京は、特定分野や地域への一極集中ではなく分散型のエコシステムを育んできました。世界を見ればIT・ソフトウェアが中心の米シリコンバレー、バイオ・医療に強いボストンなど、スタートアップ集積地には特色があります。しかし、スタートアップは23区全体に広がっているわけではなく、限られたエリアに集中しています。最大の集積地は渋谷で、メディア・エンタメ系を中心に数が多く、裾野が広くなっています。

 スタートアップは技術実用化の主要な担い手であり、政府は支援体制の拡充を図り、多数のグローバル・ユニコーンの創出を目指しています。日本は経済規模や技術力に対し、ユニコーンの数が少ないとされています。内閣府の資料によれば、最多の米国は979、中国は316、インドは103、英国は91、韓国は31に対し、日本は12にとどまっています。日本では、スタートアップの活動量や投資額などの指標は伸びていますが、世界的な規模に育つ企業は限られています。

 スタートアップの成功に最も重要なのは、海外を含めた人的ネットワークです。国内の拠点をつなぐ意味でも世界との窓口となる施設が必要となります。自民党でも技術の種を持つ研究者、普及につなげる企業、資金を出すベンチャーキャピタルが集う世界的ハブ構想が考えられています。東京・恵比寿駅と中目黒駅の間にある国有地にスタートアップ支援の拠点を建設するとしています。こうした先行活動だけで270億円の投入を決めています。5年以上かかるとされる拠点の設計や建設にも国費が必要になります。

(2026年4月7日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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