企業における成長投資の拡大

 経済産業省は、企業や投資家向けの新たな指針である成長投資ガイダンスを発表しています。企業に対し、ROEなど資本効率を過度に重視する姿勢を改め、成長に向けた投資の拡大を求めています。ROEは、自己資本を減らせば高くなるため、企業は自己資本を使った自社株買いを増やしました。自社株買いなど2013年度~2024年度の株主還元の伸びは、米国の1.1倍に対し、日本は3.5倍と高くなっています。

 成長が期待される企業が、稼いだお金を投資に回さず株主還元に充てていることが問題となっています。これらの株主配当の実施率は米国では22%ですが、日本は60%に上っています。日本企業は株主還元を優先した結果、成長投資は欧米企業に見劣りしています。2023年度の売上高に占める成長投資の比率は、米国が29.4%、欧州が27.2%で、日本は17.7%と半分程度です。

 大胆な成長投資である設備投資、研究開発投資、人的投資の拡大が必要です。指針では、賃上げによる専門人材の確保や投資を通じた商品・サービスの付加価値向上による、収益力強化の重要性を訴えています。競争力を高めるため、政府が税制優遇などで事業再編を促すことも盛り込み、日本経済の底上げを図ります。

(2026年5月28日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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