光遺伝子の目の網膜治療への応用

 東京大学は、2026年度のノーベル生理学・医学賞の米スタンフォード大学のカール・ダイセロス教授と新会社を立ち上げます。目の網膜治療など医療への応用を目指しています。光を感知するたんぱく質のロドプシンの一種であるカーマインは、既知のロドプシンと比べて光への感度が高く、強い光を当てなくても細胞を操作しやすいとされています。天然に存在するカーマインの遺伝子を一部書き換えた物質を数百個単位で作り、その上でそれらの中で感度が最も高い物質を特定しています。

 遺伝性の目の難病である網膜色素変性症を対象に、臨床試験の実施を目指しています。目の網膜で光を感知する視細胞に異常が生じることで発症します。視野が徐々に狭まって視力が低下し、最終的には失明に至る場合もあります。治療では網膜に残っている神経細胞に改変したカーマインの遺伝子を組み込み、視細胞の代わりに、神経細胞で光を捉えられるようにします。

 網膜色素変性症は、光遺伝学の実用化を掲げるスタートアップの多くが治療領域に定めています。目は光を扱う器官で技術を応用しやすく、視覚は治療の効果を評価しやすいためです。

(2026年10月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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