精子のもとになる生殖細胞のメチル化は、胎児初期にいったん消えますが、男性では精子が作られ始める思春期までに再び確立されます。この間にメチル化が起こらないと、レトロウイルスが活動し、生殖細胞が死滅することがあります。しかし、確立の詳しい時期は不明でした。人のDNAには、進化の過程でレトロウイルスの断片が入り込んでおり、暴走すると正常な遺伝子を壊してしまいます。通常はDNAのメチル化という仕組みで活動を抑えています。
チームはまず、サルで出生後から1歳にかけてメチル化が確立することを確認しました。人の小児がん患者が治療前に凍結保存した精巣組織などを分析した結果、生後3カ月頃から1~2年をかけて確立されることを突き止めました。
メチル化の度合いを調べれば、生殖細胞がどの段階まで成熟しているかを判別できます。人のiPS細胞から精子を作る研究は進んでいますが、メチル化の再現などが課題で実現していません。この研究成果は、男性不妊のメカニズムの解明や、将来的にiPS細胞から精子を作る研究に役立つと思われます。

(国立成育医療研究センター プレスリリース 2026年4月21日)
(吉村 やすのり)





