看護婦を目指す学生の急減

 厚生労働省によれば、看護課程のある専門学校や大学を受験する学生は、2025年度に14万1,234人と10年で30.8%減っています。専門学校が3万2,135人、大学は10万9,099人でそれぞれ63.2%、6.7%減っています。専門学校は、2025年度に宮城・沖縄を除く全ての都道府県が定員割れに陥ります。厚生労働省によれば、看護課程を廃止する学校は相次いでおり、2030年度までにさらに94課程が廃止を予定しています。専門学校の受験者減の受け皿となってきた大学も19府県が定員割れの状態にあります。

 学生数は地域の医療サービスの存続を左右します。学校がある都道府県内で看護職に就く卒業生は、大卒で58%に上り、専門学校では8割超に上昇します。18歳人口は2025年度におよそ110万人と、この間に9.1%しか減っていませんが、18歳人口の約1割減を上回る速度で受験者が減少しています。

 キャリアを重ねても伸びない賃金や不規則な勤務環境が学生を遠ざけています。厚生労働省によれば、50~54歳の看護師の月収は2025年に平均36万2,500円と、20~24歳と比べて7万7,000円しか伸びていません。看護師は若手の頃は夜勤が多く全産業平均を上回るものの、40代以降は賃金が伸びにくくなっています。看護師資格の取得にかかる負担の重さも学生離れの一因となっています。国家資格の受験には専門学校や大学で102単位を履修しなければなりません。うち4分の1ほどは、拘束が長く準備の負担も大きい医療現場の実習です。専門学校は同じ単位数を3年で修了しなければならず、大学に比べて学生のスケジュールも過密になりがちです。

 技術進展などに伴い学生が学ぶ情報量が増えており、オンライン教育を取り入れるなど、詰め込み型を避けて学習意欲を引き出すような教育の中身を見直すことも必要です。看護系の私立大学では、初年度の納付金は200万円弱に上ることが多く、文系の約120万円、理系の160万円よりも高い学費がかかります。看護師を志望する学生は今も少なくありません。若者が希望する進路に進める経済支援の拡充も打開策となると思われます。

(2026年7月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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