米モルガン・スタンレーは、2020年に世界の宇宙開発の市場規模が2020年比で3倍の1.1兆ドル(約175兆円)規模に広がると予測しています。現在は年間の打ち上げ回数の半数以上をスペースXが占めています。今後は需要が増えて衛星を打ち上げるロケットが足りなくなる可能性が高くなっています。
スペースXが打ち上げるロケットに搭載するのはほとんどが自社の通信衛星ですが、他社の製品も年間3~10回のペースで相乗りで打ち上げています。ただその予約枠も、2028年までほとんど埋まっています。世界で人工衛星の打ち上げが増え、ロケットが不足する懸念が出てきています。
日本は、基幹ロケットH3や民間企業のロケットの相次ぐ打ち上げ失敗で商機を逃しつつあります。H3は2032年度末までに20回以上の打ち上げを予定していますが、ほとんどが日本政府の衛星です。内閣府によれば、日本は2013~2022年に国内の商業衛星の打ち上げに、全て海外のロケットを使っています。日本が基幹ロケットを年間に打ち上げた回数は、これまで最大でも4回程度です。政府は今後6~8機の打ち上げを目指すとしています。どこまで需要拡大に対応できるかは不透明です。
政府は、日本の宇宙関連の市場規模を2030年代初めに倍増する計画を掲げています。現状では宇宙産業に関わる企業などの従業員数は、将来求められる規模の10分の1程度にとどまっています。ロケットや衛星、地上で使う機器を製造したり、衛星に使う様々なサービスに関わったりする人が圧倒的に不足しています。

(2026年4月7日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)







