総務省の労働力調査によれば、2025年度の就業者数は平均で6,829万人で、前年度から36万人増えています。増加は5年連続で、女性や高齢者の就業率の高まりが背景にあります。産業別に見ると、介護施設や児童相談所なども含む、医療・福祉は1.9%増の18万人で945万人でした。うち女性が16万人と9割を占め、高齢化の進展を女性の就労が支えています。
医療・福祉の就業者数は、新型コロナウイルスの感染拡大で、全体の就業者数が前年度から69万人減った2020年度でも17万人増えました。コロナ禍が落ち着いた後も全体の増加幅に占める比率が上昇しています。医療や介護の求人ニーズは強く、2026年3月の有効求人倍率をみると、保健師・助産師・看護師は2.12倍、社会福祉の専門職業は2.69倍と全体の平均1.10倍を大きく上回っています。
しかし、無視できないのは生産性の低さです。財務省の主な産業別の労働生産性と労働投入量についての調査によれば、製造業は就業者数と労働時間を掛け合わせた労働投入量が32%減っていますが、物価変動の影響を除いた付加価値額を労働投入量で割った生産性は92%上がっています。医療・介護などの保健衛生・社会事業は労働投入量が2.4倍に増えたものの、生産性は13%下がっています。
財務省は、生産性が伸び悩む医療・介護産業が日本経済の成長に資するためには、より少ない労働投入量で質の高いサービスを提供するなど、効率的で持続可能な産業構造への転換が不可欠だとしています。
医療・介護の生産性を改善してきた国もあります。厚生労働省によれば、米国、ドイツは実質の年平均で0.8%、0.2%プラスでしたが、日本は1.3%マイナスと、横ばいの英国にも劣っています。人手頼みからの転換には、施設の集約やデジタル化が有効です。
(2026年5月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)







