潜在保育士の増加

 資格を持ちながら保育士として働いていない潜在保育士は増えています。こども家庭庁の調査によれば、保育士の登録者数は2024年で全国に190万5,000人です。そのうち保育士として働く人は35%の67万5,000人にとどまり、残りの123万人は他の職業などに就いています。女性の社会進出で社会全体の保育ニーズは高まっていますが、低い賃金や重い責任、体力的にもハードな労働環境で就職に二の足を踏んでいます。全国の保育施設の8割が人手不足にあえいでおり、現場の職員1人あたりの負担は増すばかりです。

 三菱UFJリサーチ&コンサルティングの潜在保育士へのアンケート調査によれば、保育士を辞めた人に負担感が大きかった業務については、保護者への対応が37.6%で最も多く、書類作業や事務作業が34.4%などと続いています。給料の低さや休みを取りづらい実情も浮き彫りになっています。79.8%の人が月給25万円未満で、年次有給休暇はほぼ取得できなかったが24.5%に上り、1日の休憩時間は45分未満が53.7%に達しています。一度も就職しなかった人に理由を聞くと、給与がよくないためが28.1%で最多でした。

 保育所数で7割を占める私立の場合、認可保育所の運営費は国が定めた子ども1人あたりの保育に必要な費用から賄われます。保育士の給与の原資も子どもの人数に応じて給付されます。保育園の判断で国の配置基準より多く保育士を雇ったとしても給付は増えません。給与体系も施設により異なり、国の想定より実際の給与が低いケースもあります。保育士の権利や義務を定めた法律をつくり、専門性と社会的な地位を高めるべきです。

(2026年5月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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