日本の人口はもう増えません。国立社会保障・人口問題研究所の推計によれば、2070年に8,700万人と、2020年比で3割減ります。人口減少を前提に行政サービスを適応させる仕組みづくりが急務となっています。全国の自治体でワイズ・シュリンクの模索が始まっています。
高知県は、2026年4月の推計人口で64万人を割り込み、国勢調査が始まった大正時代の1920年より3万人以上少なくなっています。他の自治体、秋田県や山形県なども、大正時代の人口に逆戻りしています。

ワイズ・シュリンクとは、人口減少を前提に行政機能や規模を縮小し、同時に住民の幸福度向上にも重点を置くまちづくりの考え方です。全国知事会は2025年11月、スマートシュリンクの視点を地方創生に取り入れる政府への提言書をまとめています。行政機能の再構築や、公共施設の統廃合も含めて検討することを求めています。大正大学の全国の市区町村に実施した調査によれば、肯定的に捉える自治体は4割、中立が5割でした。

国連の推計によれば、世界人口は2080年代半ばの103億人をピークに減少します。欧州の国々や中国は既に減少局面に入っています。OECDは、2025年にスマートで持続可能な縮小をテーマに報告書をまとめています。韓国やフィンランドは、都市機能の集約やデジタル活用で、住民の幸福度向上や地域社会の維持を目指すべきだと提言しています。人口を維持する努力は続けながらも、縮む現実を直視して賢く乗り越えねばなりません。
(2026年5月25日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)





