少子化が周産期医療に与える影響

 日本は、世界で最も低いレベルの妊産婦死亡率、新生児死亡率を誇っています。しかし、出生数の減少が医師の高齢化などと相まって、リスクの低い分娩を担う地域の診療所が維持できなくなっています。国内でお産ができる施設は年5%程度のペースで減少しており、診療所は初めて1千施設を下回りました。周産期母子医療センターの数は、近年は横ばい傾向にあります。

 国は、全都道府県で1万出生あたりNICU25~30床を目標に整備するよう進めてきました。1,500g未満の新生児は、2010年には8千人を超していましたが、2024年は約5,400人に減少しています。NICUも1万出生あたり46.2床と、目標としていた数字を大きく上回っています。

 小児外科の分野でも、症例数の減少が大きな課題となっています。小児外科の手術の減少は、専門医の育成にも支障が出るようになってきています。欧米では小児外科ができる病院が集約されています。しかし、病院までの距離が伸びると、より重い状態で搬送されたり、助からなくなったりする可能性もあります。集約化すると家族の経済的な負担も大きくなります。

 国も、出産、新生児、小児の医療の方向性について必要なベッド数の見直しや、集約化、都道府県を越えた広域連携について検討を始めています。

(2026年6月4日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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