東京慈恵会医科大学の研究グループが、新型コロナウイルス感染症の後遺症で代表的な症状である倦怠感と抑うつの原因の一端となるメカニズムを解明しています。脳内の神経伝達物質であるアセチルコリンの低下と関連があり、既存の認知症治療薬を使うことで改善がみられたと報告しています。
研究チームは、ヒトヘルペスウイルス6(HHV―6)が作るSITH―1たんぱく質が関与している可能性に着目しています。体内に潜伏するHHV―6の再活性化の指標となる抗SITH―1抗体を測定しました。その結果、約7割の患者で抗体が陽性となり、ウイルスの再活性化が高頻度で起きていました。また、抗SITH―1抗体が陽性の患者ほど、倦怠感や抑うつ症状が強く表れていました。
マウスを使った動物実験で、脳の一部である嗅球にSITH―1たんぱく質を発現させると、神経伝達物質アセチルコリンが低下し、倦怠感やうつと似た行動がみられています。アセチルコリンを増加させる認知症薬であるドネペジルを投与すると、これらの症状は改善しています。さらに抗SITH―1抗体が陽性の患者に限定して分析したところ、ドネペジルの投与によって、疲労や抑うつの評価指標が有意に改善しています。
(2026年6月11日 東京慈恵会医科大学プレスリリース)
(吉村 やすのり)






