慶應大学のチームは、脊髄損傷から長期間経過した慢性期の患者を対象に、人のiPS細胞から作製した神経のもとになる細胞を移植する医師主導治験を開始します。国内の慢性期の患者は10万~20万人と推定されています。治験は、このうち運動機能の一部が残っているものの、受傷してから長期間が経過した患者を対象に行います。
脊髄損傷の患者は、神経細胞の一部を包む髄鞘と呼ばれる部位が損傷しているため、脳からの指令が滞り、手足が動きにくくなっています。髄鞘を作ったり、神経細胞に栄養を供給したりするグリア細胞に着目しています。神経のもとになる細胞は、神経細胞かグリア細胞のいずれかに変化しますが、今回の治験ではグリア細胞になりやすい細胞を作って患者に移植し、髄鞘の修復を促します。
これまで、受傷後2~4週間が経過した亜急性期の患者にiPS細胞から作製した細胞を移植する臨床研究を行い、患者4人のうち2人の運動機能が改善したとしています。

(2026年7月12日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)





