公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンの調査によれば、親の収入格差により、子どもの体験活動に差がみられています。経済的に厳しい家庭の子どもの3人に1人が、この1年学校以外での習い事や文化的活動などの体験をしていません。収入格差による体験活動の貧困は、子どもが豊かな生活を送るうえでの機会を奪うことになります。
世帯年収を300万円未満、300万~599万円、600万円以上の3層に分け、1年を通じて体験活動がなかったと回答した割合をみると、300万円未満では29.9%、600万円以上では11.3%でした。特に、習い事などの定期的な体験活動をしていない割合は、300万円未満の54.3%に対し、600万円以上では26.6%と大きな差がみられています。体験活動がなかった理由としては、経済的な余裕がないを選んだのは、300万円未満で56.3%、600万円以上で16.9%でした。
物価高騰によって体験活動が減った、減る可能性があると答えた人の割合は、300万円未満で50.6%、300万~599万円で47.2%、600万円以上で34.7%と、年収別で差はあったものの、子育て世帯に広く影響を及ぼしています。
今回の調査により、家庭の経済状況で、体験活動に格差が生じていることがはっきりとしました。体験活動の貧困は、将来の進路や職業選択にも影響を及ぼします。体験活動の貧困を身近な問題として捉え、子どもの体験活動を支援する政策が必要になります。
(2022年12月20日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)