「なぜ、無実の罪の医師が逮捕されたのか」方丈社より上梓

 県立大野病院問題は、われわれ産婦人科医にさまざまな教訓を与えてくれました。
 現状の医療事故調査委員会のあり方が問われています。島根大学病院の産婦人科でおこった事件も県立大野病院問題と同じ構図です。事態の解決のためとして、医療賠償保険の支払いの目的で報告書の結論が歪められとしたら、医療者側のみならず、家族側にとっても不幸な結果となります。この二つの事件に共通することは、事故調査委員会が真相究明よりご遺族への補償に軸足がおかれていたと思われます。今のままでは患者家族の医療者への不信は募り、そうなれば医療者はリスクから遠ざかってしまうことになります。
 医療事故調査委員会は、事故の再発防止を目的と過失責任を問うことなく、真相を究明することにあります。司法にも、医療事故調査制度をより良き制度へ導く役割をいかに果たしてゆくかが問われています。

(吉村 やすのり)

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