「わが国の少子化を考える―産婦人科医の重要性―」シリーズ―Ⅰ

わが国の少子化の現状
一人の女性が生涯に産める子どもの数の推計値であるわが国の合計特殊出生率は、戦後1947年の第1次ベビーブームの時に4.54と最高となり、生まれた子どもの数も270万人に達した。その後、1973年に第2次ベビーブームの時に合計特殊出生率は、2.41と一時的な上昇は見られたものの、第3次ベビーブームは訪れることなく、減少の一途を辿っている。そしてついに2005年には合計特殊出生率は1.26と最低値を示したが、2015年に1.46まで上昇し、あたかも少子化が回復傾向にあるような報道が目立っている。しかしながら、40年間で出生数が半減するといった落ち込みぶりは、他の先進国と比べても類を見ないネガティブスパイラルの状況である。少子化がこのまま進めば、国内労働力不足、産業力の低下、国内産業のさらなる空洞化を招くことになる。このような超少子・高齢化が進む中、産婦人科医の減少は止まらない。その理由として、過酷な労働条件による勤務医の疲弊に加えて、病院における低水準の待遇、2004年の初期臨床研修制度の導入などが挙げられる。これは非常に由々しき事態である。

 

(吉村 やすのり)

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