かかりつけ医

 かかりつけ医とは、身近な診療所などでどんな病気にかかってもまずは診てくれる医師のことをいいます。時に往診もして患者の健康を管理し、自宅での療養を支えます。かかりつけ医は、様々な病気の診断や初期症状への対応が第一の役割です。症状に応じ高度な病院に橋渡しするほか、介護が必要な患者のため日頃から関連施設との連携も欠かせません。日本医師会と四病院団体協議会は、何でも相談できる、必要なときは専門医を紹介、地域医療・保健、福祉を担う能力を持つ医師と定義しています。
 かかりつけ医は、英国やフランスなどでは制度化されています。1948年開始と歴史ある英国では、居住地域の診療所からかかりつけ医を選ぶのが義務となっています。そこを受診せずに大病院にはかかれません。経済協力機構(OECD)によると、日本人は1人あたり年12.9回、医師の診察を受けています。かかりつけ医が定着する英国の5.0回、ドイツの9.9回に比べ多くなっています。通院や検査の無駄を省くには、幅広い症状を診る総合力を持つ医師の育成が不可欠です。日本ではこれまで専門医養成が重視され、こうした医師は限られていました。このため日医は4月「かかりつけ医機能研修制度」をスタートさせています。3年間で生活習慣病や認知症、緩和医療、リハビリなど様々な分野の研修会で計10単位を取得し、訪問診療や看護認定審査会への参加など実地研修も必要となります。要件を満たせば都道府県医師会から修了書などが発行されます。

 

(2016年9月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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