こども保険とは

 教育無償化や待機児童解消などをまかなう新たな財源として、年金などの保険料に上乗せして徴収するこども保険制度が考えられています。こども保険は、勤労者や企業から集めた社会保険料を使って、子育て世帯の経済的な負担を減らす制度です。事業者と従業員には折半で負担する年金などの保険料をそれぞれ上乗せし、自営業者などの国民年金加入者には月額の負担を求めます。子どもが必要な保育や教育を受けられないリスクを社会全体で支える社会保険の一種と位置づけられます。しかし、子どもがいない世帯や子育てを終えた世帯は、保険料を納めても給付を受けることはできません。
 社会保険料を勤労者、事業者とも0.1%ずつ上乗せして徴収すれば、それによって得られる約3,400億円で、児童手当を1人当たり月5,000円増やすことができます。さらに保険料の上乗せを0.5%まで増やせば、集まる財源は約1.7兆円が得られ、小学校入学前の子ども約600万人に児童手当を月25,000円加算でき、幼児教育・保育を実質的に無料にできることになります。最終的には上乗せ率を1.0%まで引き上げ、財源規模を3兆円規模に増やそうとしています。これまでの日本の社会保障は、高齢者優遇に偏っていました。こども保険の特徴は、現役世代で負担を共有し、将来世代へのツケの先送りを避けることにあります。

 

(2017年5月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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