女性の働き方による生涯所得の違い

 1986年の男女雇用機会均等法施行以降、女性の大学進学率と就職率は急速に高まりました。しかし、仕事と家庭の両立環境はその後も整わず、結婚・出産をきっかけに多くの女性が職場を去ってしまいます。日本の家庭には、企業社会の最前線で働いた経験があるのに、結婚・出産で退職した優秀な人材が埋もれています。一度仕事を離れると潜在能力に見合った再就職先を見つけることは難しくなります。人手不足が深刻な状況で、高等教育を受けた貴重な人材を見過してはいけません。能力と経験に見合う再就職先があれば、高学歴主婦の就労意欲はさらに高まります。
 また出産を考える働く女性にとって収入の減少は気になります。ニッセイ基礎研究所は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査などをもとに、大卒女性の生涯所得を推計しています。正規雇用で同一企業で働き続け、出産などの休業をしなかった場合は25,816万円です。子ども2人を産んで育休を2回取得しフルタイムで復職した場合は23,008万円でした。しかし、出産退職後にパートで復帰すると6,147万円で、正規で働き続けたのと比べて2億円近い減収となってしまいます。

(2017年5月22日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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