これからの働き方

 東レ経営研究所主任研究員の渥美由喜氏は、日本経済新聞で「会社依存の働き方、危険」と正社員の働き方に警鐘を鳴らしています。渥美氏は少子化危機突破タスクフォースなど様々な内閣府の会議で御一緒させて頂き、いつも、働き方改革について正鵠を射た指摘をなさっています。


 「これからの人口減少社会では、人材の奪い合いになることが予想されます。企業にとって、若いうちに低めの賃金で滅私奉公させた分を、中高年で好待遇で報いる、年功型賃金の維持が難しくなっており、企業は変わらざるを得なくなっています。賃金の年功色を薄める代わりに、労働時間を減らす、育児・介護で制約があっても正社員でやっていられる、有期だから逆に高い報酬を払うといった動きがみられます。
 人材確保のため、有期か無期か、時間制約の有無、転勤・異動の有無を選択できる企業も増えています。こうした限定正社員のような働き方が広がると、従来の正社員=無期で長時間労働、非正社員=有期で時間限定という日本的な分類はできなくなってきます。時間のマネジメントが重要なので、精神論的な働き方も見直しが進むはずです。働き手は会社にではなく、仕事で雇われた意識が強く、忠誠心の先は会社より仕事や社会になります。
 働き手も変わる必要があります。日本は、その会社だけで通用する人間関係や根回し力で評価される正社員も多くみられました。会社にもたれかかるような働き方は危険です。これからの正社員は、自己防衛のためにも、履歴書に欠けるような、社会・市場で価値を持つキャリアを積んだ方がいいと思います。会社だけではなく、趣味や地域にも心の居場所を作り、キャリアや人生をマネジメントする働き手の自律が最も大切になります。」

(2016年6月19日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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