わが国の少子化の現状とその対策―Ⅱ

出生数を考える
 出生数は1549歳女性人口、合計特殊出生率、1549歳女性の年齢構成に分解することができます。合計特殊出生率は、ある1年の女性の各年齢の出生率を合計した数字であり、そのまま出生数を決定するものではありません。合計特殊出生率が高くなっても、女性人口が減っていたり、1549歳女性の年齢構成が出生率の低い年齢層に偏っていたりする場合には、出生数の増加にはつながりません。2014年~2015年にかけて、1549歳女性の人口は1%減少し、年齢構成も出生率の低い年齢層が増えたため、合計特殊出生率が上昇しても出生数はさほど増えませんでした。
 1975年には、1549歳女性は今より約480万人多く、年齢構成もピークでした。この時期は団塊世代の出産が多く、出生数も200万人前後を示していました。その後出生率の低下が続き、女性の数も1997年から減少に転じました。2003年頃には、第2次ベビーブームである団塊世代のジュニアが出産する時期となり、女性人口も今より約260万人と多くを占めていました。第3次ベビーブームが到来するかと思われましたが、合計特殊出生率は低迷しており、出生数は減少し続けていました。つまり今後は、出生率が上昇しても親になる可能性のある年齢層の女性が減るので、出生数の大幅増加にはつながるとは思えません。

(2016年8月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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