アジア諸国の高齢化

 少子高齢化や人口減少は、現在の日本の最重要課題です。しかし、今では東アジア全体の共通の課題となっています。アジアが世界経済をけん引するためには、少子高齢化や人口減少の負の影響を減らす政策が必要となります。中国、韓国、タイの合計特殊出生率は、1960年代は5.0を上回っていましたが、今は日本とほぼ変わらない状況まで減少しています。
 韓国の少子化は、女性による結婚と出産へのボイコットが原因です。公共部門が提供するサービスが少なく、子どもや高齢者のケアは伝統的に女性が担わねばならず、女性のストライキが起きている状況にあります。高齢化で着目すべきなのは、福祉サービスが少ないことと親孝行の意識が薄れています。かつては親は子どもに老後の面倒を見てもらえました。韓国の高齢者貧因率は、経済協力開発機構(OEDC)で最も高い水準となり、今後は雇用創出も含め、高齢者に社会サービスを提供することが必要であり、日本と同じ状況にあります。
 タイも高齢者人口の比率は上昇しており、40年前には3分の1近くに高まります。東アジアだけでなく、今後東南アジアでも少子高齢化が起きる可能性があります。少子高齢化に対応するには福祉国家になることが大切です。その国家が財政的に持続可能になるためには、税金の引き上げも必要となります。

(2016年5月31日 日本経済新聞
(吉村 やすのり)

カテゴリー: what's new   パーマリンク

コメントは受け付けていません。