もやもや病

 もやもや病は脳内の血液が十分に流れないために、手足がマヒしたり言語などに障害が出たりする病気です。内頸動脈という太い血管が細くなり脳内の血液が足りなくなると、血液不足を補うため、太い血管から枝分かれして通常はみられない細い血管ができます。脳血管の様子をMRIなどで診ると、細い血管がモヤモヤと立ち上る煙のようにみえることから、もやもや病と呼ばれています。細い血管が詰まって血液が不足したり出血したりする恐れがあり、脳卒中を起こす危険性が高くなります。東アジア地域に患者が多く、厚生労働省の指定難病です。もやもや病では失語症や記憶力の低下などが出ることも多く、高次機能障害と呼ばれます。
 早期に発見することが大切です。最近は、薬による治療だけではなく血管を新たに補うバイパス手術などを受ければ、日常生活を支障なく送れるようになります。治療を受けても再発するときもありますが、バイパス手術を受けた場合は再発する確率は低くなります。子どもや若い女性、妊婦なども多く、妊婦では出産時に過呼吸による脳内出血を起こす恐れもあり帝王切開になることが多くなります。複数の専門医が連携して治療に携わることによって、患者の総合的な支援ができるようになります。生活上の問題に応じたサポートやリハビリテーションが必要となります。病気にもかかわらず、周囲の理解が不十分で、学習や就職の機会を失うこともあります。

(2016年5月29日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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