アルツハイマー病の年間医療・介護費

国内のアルツハイマー病患者にかかる医療・介護費は、推計年6.8兆円にも達しています。その9割が介護費です。介護費の内訳は、介護保険の費用2.1兆円と家族介護を賃金などに換算したコスト3.9兆円です。1人あたりでみると、軽症者は年157万円ですが、重症者は年321万円と倍になります。
認知症で最も多いアルツハイマー病の新薬であるアデュカヌマブが、米食品医薬品局(FDA)に条件付きで承認されました。初期段階で投与し、長期の進行抑制を狙う世界初の薬として期待されています。しかし、アデュカヌマブは、遺伝子組み換え技術を用いた抗体医薬で、製造コストが高額になってしまいます。米国での薬剤費は、1人あたり年5万6,000ドル(約610万円)にも達します。米国では各自が加入する保険により自己負担額が決まります。
日本では、承認された薬の多くが公的医療保険の適用になります。薬価は国が決め、米国よりは低く設定されることが一般的です。承認された場合、医療保険財政の圧迫が懸念されています。
アルツハイマー病は、認知症全体の6~7割を占めるとされる病気です。認知症の人は世界に5,000万人おり、2050年には1億5,000万人に上るとみられています。国内では2025年に730万人が認知症になると推計されています。

(2021年6月18日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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