キャシュレス決済の拡大

新型コロナウイルス禍を機に、世界でキャッシュレス化が一段と進んでいます。仏コンサルティング会社キャップジェミニの調査によれば、2021年の世界の非現金決済件数は、5年前と比べ7割増の約8,395億件に拡大し、2023年には1兆件を超える見通しです。
コロナを機に、消費者だけでなく小売事業者が、デジタル決済の対応を急いだこともキャシュレス化を後押ししています。小売店が利用するのがペイパルや米スクエアなどフィンテック企業のサービスです。ペイパルの決済総額は、2020年に前年比31%増の9,360億ドル(約102兆円)に増えています。
アジアでは、中国で先行していたキャッシュレス化が周辺国にも普及してきています。東南アジアでは、配車大手グラブやゴジェックなどの決済サービスや中国系決済アプリに加え、各国の現地企業の決済アプリが次々に誕生しています。南米では、デジタル銀行が銀行口座を持たない人に急速に普及し、キャッシュレス化を後押ししています。
コロナ禍は消費者の行動を大きく変えています。オンラインでの買い物やフードデリバリーの利用に、クレジットカードやスマホ決済は欠かせません。利用者が、現金を持ち歩かずにカードやスマホで簡単に決済できる便利さを実感すれば、コロナ収束後も現金中心の行動へ回帰することはありません。キャッシュレス化が進めば、犯罪対策や個人情報の保護も重要性を増します。

(2021年5月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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