コロナ後遺症の労災認定

厚生労働省によれば、コロナの労災認定は、5月に5,020件、6月は7,963件と急増しています。労災に認定されるのは、病院などで働く医療従事者や介護施設の職員のほか、不特定多数の客と接する業種で働く人たちが多くなっています。家庭や日常生活などでの感染は除かれ、業務との関連が条件となります。
しかし、感染経路が不明な場合でも、感染リスクが高い業務に従事し、それによって感染した可能性が高い場合は、幅広く労災認定されています。実際に審査が終わった案件の9割超が認定されています。脳・心臓疾患や精神疾患と比べても、認定の割合は大きくなっています。
しかし、感染と後遺症発症の間に、1~2か月の時間があると、過去の業務に遡った因果関係の確認は難しくなります。このため勤務先や医師の協力が得られず、申請を諦めてしまい審査対象とならないことも多くなっています。そもそも後遺症が労災対象となることを知らないケースもあります。記憶力の低下や倦怠感といった後遺症に苦しむ本人が、申請手続きをする場合の負担の重さも申請のハードルになっています。後遺症の治療が長期化して、仕事を1~2年休む場合もあり、その際は労災認定の有無が生活を左右しかねないことになります。

 

(2022年9月1日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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