コロナ禍でのがん検診の自粛

がんは日本人の死因で最も多く、3人に1人はがんで亡くなっています。4月末までに新型コロナで亡くなった人が累計で約1万人だったのに対し、がんで亡くなった人は、2019年には約38万人にものぼっています。一方で医療の進歩により、早期発見できれば治療可能な病気になりつつあります。国は、胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、子宮頸がんの5つについて対象年齢・性別や実施の頻度を定め、検診の受診を推奨しています。
都の報告によれば、62区市町村の2020年4~9月の受診者数は、約71万6,000人であり、前年同期と比べて36%減少しています。特に初めて緊急事態宣言の出た2020年4月~5月は外出自粛の広がりに加え、厚生労働省が集団検診の原則中止を決めたのが響き、大きく落ち込んでいます。部位別では胃がんや肺がんの減少が目立っています。
各自治体と医療機関は、最初の宣言解除後に感染防止策を徹底した上で検診再開しましたが、2021年1~3月には再び緊急事態宣言が発令となってしまいました。4~9月ほどではないのですが、2021年度もこの状態が続けば、将来の死亡率上昇につながりかねず、各自治体は受診率向上に知恵を絞っています。

(2021年5月13日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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