コロナ禍における世界の死者数

ヒト、モノ、カネがかつてない勢いで世界を行き交うグローバル時代を、あざ笑うかのように新型コロナは世界に一気に広まりました。世界保健機関(WHO)がパンデミックを宣言してから、3カ月足らずの内に、五大陸で感染爆発が発生しました。10月15日現在、米国の新型コロナの感染者数が791万人、死者数が21万人に対し、震源地となった中国では8万5千人の感染者と4,600人の死者にとどまっています。
感染対策の世界最強機関といわれる米疾病対策センター(CDC)も本領を発揮できないままです。米国の人口は世界の5%ですが、コロナ死では2割を占めています。一方の中国は、1~3月に自由や私権を顧みない徹底したロックダウンでウイルスの封じ込めに成功しました。一定の期間、強権を持って社会の動きを完全に止めれば、感染を抑え込めることを世界に示しています。
新冷戦といわれる米中の対立の構図のあおりを受け、世界は感染症対策でも、協調ではなく分断が生まれています。脅威はウイルスそのものによるものから、先の見えない不安や経済の失速、社会の混乱、そして対立へと副次的なリスクが次第に拡散しています。

(2020年10月19日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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