ジョブ型雇用の増加

年齢が上がるにつれて給料が増える年功序列型賃金といった、これまでの雇用制度を変えようとする企業が増えています。職務に応じて賃金を決めるジョブ型雇用の導入も広がっています。雇用慣行を見直して活性化させたいという経営者の思いがあるようです。しかし、中高年社員らにとっては賃下げにつながったり、雇用の安定性が揺らいだりする可能性も出てきます。人事制度を変えるのを機に、希望退職を募る企業も出ています。
経営側は、事業をグローバルに展開するためには、多様な人材が必要だなどとしてジョブ型雇用に前向きです。ジョブ型では、決められた仕事以外は原則しません。同じ仕事をしている限り、年齢が上がっても賃金は大きく変わらないとされています。制度の変更などにともない中高年らが社内で別の職務に就くと、給料が減る可能性があります。多くの企業の狙いは、コストの高い中高年社員の賃金を抑えることにあります。
政府も、ジョブ型雇用のあり方について検討してきています。職務や勤務地、労働時間などを限定した多様な正社員が、これからは必要になってくきます。厚生労働省の検討会は報告書をまとめ、企業が採用時に将来の勤務地や仕事内について明示するよう義務付けています。労働者にとって異動はしたくないといった希望に応じて、仕事を探しやすくなります。条件が明確になれば、将来の暮らしも設計しやすくなります。

(2022年3月31日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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