ドクターカーの活動

ドクターカーは、一般的には119番通報を受けた消防機関が、病院に要請して出動する仕組みを指します。医師が患者を診るまでの時間を縮め、救命や重症化の予防につなげることが最大の狙いです。運用方式は大きく2種類です。一つは消防機関の救急車を使うタイプで、病院に寄って医師を乗せるピックアップ方式と、病院の敷地で救急車が待機するワークステーション方式があります。もう一つは、病院の所有車を使います。医師が乗った車が、救急現場や路上で救急車と合流します。
日本病院前救急診療医学会の今年夏の全国調査では、消防が日常的に出動要請できる病院は全都道府県で434です。3年前の初調査から9.3%増えています。しかし、活動状況は病院や地域で大きな差があります。98病院が12回以上ですが、6割の257病院はゼロです。都道府県別でも秋田、福井、三重、香川、大分の5県はゼロでした。医師や運転手の確保、消防との連携に問題があるとみられています。年数千万円にもなる経費も大きな課題です。往診料などの診療報酬で一部賄えますが、ドクターヘリのような補助金がなく、多くは病院の持ち出しか自治体の負担です。
ドクターカーを取り巻く環境も変わってきています。心肺停止の患者に対し、救急現場で心拍再開をさえることが重要視されてきましたが、蘇生技術の進歩で、適切な病院に早く運ぶ方が改善が見込めるケースもあります。

(2018年12月15日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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