フェムテック市場の拡大

女性のカラダなどの悩みをテクノロジーで解決するフェムテックが注目されてきています。日本の大手企業が、フェムテック関連の商品やサービスの開発に本腰を入れ始めています。女性の社会進出が進む中、これまで新興企業のインターネット通販が先行していましたが、今年は衣料・日用品など大手の参入が相次ぎ、選択肢が広がってきています。
女の転職typeの調査によれば、生理や月経前症候群(PMS)により、仕事の進みが遅くなったなど仕事への影響を感じた人は約5割に達しています。やや感じたことがある人と合わせると、82%にのぼるとの結果も出ています。生産性が改善するといった目線だけで議論すべきではありませんが、フェムテック製品の一つであるピルなどの薬剤の服用により、女性のQOLの改善につながります。また使ってみたい生理用品に約3割が吸水ショーツ、2割が月経カップを挙げています。フェムテック商品への関心は高いものがあります。
日本では法律で定められた生理休暇すら利用が進んでおらず、多くの企業では女性の健康への配慮は浸透していないのが実情です。衆議院議員の宮路拓馬氏らは、昨年10月にフェムテック振興議員連盟を立ち上げました。振興議員連盟によって生理が政治の世界でオープンに語られだしたのを契機に、働く女性を取り巻く環境整備が進むことが期待されます。女性従業員の健康に配慮する企業も増えてきています。
遅ればせながら行政も重い腰を上げ始めました。厚生労働省や事業者により、フェムテック製品の薬機法上の位置づけを検討する産官ワーキンググループが始まりました。経済産業省は、フェムテックが将来の成長産業につながる可能性があるとみて、6月にフェムテック関連サービスの実証事業の補助対象に20事業を採択するなど支援を始めました。

(2021年10月18日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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