プレコンセプションケアの重要性

高齢出産など出産を取り巻く環境が変わるなか、妊娠前の健康管理を後押しする取り組みが広がりつつあります。プレコンセプションケアと呼ばれ、米国の疾病予防管理センター(CDC)が2006年に提唱したのが始まりです。WHOも推奨し、国内では2021年2月に閣議決定された成育医療等基本方針に盛り込まれました。男女ともに性や妊娠に関する正しい知識を身につけ、健康管理を行うよう促す取り組みです。こども家庭庁は妊娠出産に関するサポートを促すとしています。

背景の一つに、低出生体重児の割合増加があります。1980年は5%台でしたが、2005年以降は9%台で推移しています。母親の痩せによる低栄養が起因している可能性があります。2019年の国民健康・栄養調査報告によれば、BMIで18.5未満の低体重は、15~29歳の女性の約2割を占めています。

高齢出産も増えています。2022年生まれの赤ちゃんでは、母親が35歳以上の割合は30%に上り、1985年の4倍以上になっています。糖尿病や高血圧など持病を抱えながら妊娠する人の割合も増えており、妊娠前ケアの取り組みが広がっています。
国立成育医療センターは、2015年に先駆けてプレコンセプションケアセンターを開設しました。具体的なポイントをまとめたプレコンノートを紹介しています。サプリメントを活用しながら葉酸を摂取したり、必要なワクチンを打ったりすることなどを求めています。子どもを希望するかどうかにかかわらず、日頃の健康管理が重要です。妊娠前からケアに取り組むことが、安全な出産につながります。

(2024年2月17日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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