ポストコロナの成長戦略

成長戦略とは、各国政府がまとめる自国経済を成長させるための政策集です。財政出動や税制を通じて投資促進や市場創出、生産性の向上などにつなげます。新型コロナウイルスの感染拡大後は、環境やデジタルの分野を重点的に伸ばそうと支援する動きが広がっています。
米国はコロナ対策をまとめた米国救済計画に続き、経済成長を目指すための米国雇用計画と米国家族計画を打ちだしました。雇用計画は、電気自動車や半導体製造などへの手厚い予算措置を盛っています。EUは、気候変動対策などに拠出するコロナ復興基金を創設したほか、電池や半導体といった重要物資について特定国への依存度を下げていく産業政策を掲げています。

日本は、毎年夏に成長戦略を閣議で決めています。6月にまとめた今年の戦略はグリーンやデジタルの集中投資に軸足を置いています。米国や欧州が、新型コロナウイルス危機の出口を見据え、環境やデジタルの分野で数十兆円規模の巨額の財政支出に動き始めています。税財源の計画も打ち出し、数年単位の持続的な成長戦略と位置づけています。明らかになっているメニューの比較では、日本は支出が実質的に10分の1に及ばず、メリハリも効いていないとされています。長期構想に基づいて、予算を無駄なく戦略的に配分する仕組みを整えなければ国際競争で劣後する恐れがあります。

(2021年7月16日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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