ライドシェアの開始

ライドシェアは、シェアリングエコノミーの代表格とされ、2009年創業の米ウーバーテクノロジーズが主導する形で、欧米やアジアで急速に拡大しました。現在、ウーバーは70以上の国・地域で事業展開しています。調査会社のグローバルインフォメーションによれば、世界のライドシェアの市場規模は、2024年に476億ドルと推定され、2029年までの5年間に年平均12%強の成長を続ける見通しです。
日本でも、一般ドライバーが自家用車などを使って有償で客を運ぶライドシェアが、4月に条件付きで始まります。これに先駆けて、公共交通が不便な地域で2006年に導入された過疎地ライドシェアが広がりをみせています。交通弱者の足として全国の登録台数は4,000台を超えています。全国合計は4,537台と、2006年の2.2倍に増えています。都道府県別では北海道が456台と最多で、長野県、島根県が続いています。
バス・タクシーのように料金を取って客を運ぶには、第2種運転免許を持つ運転手と緑ナンバーの営業車両が必要になります。しかし、過疎地などでは、一般ドライバーが自家用車などで客を運ぶ交通空白地有償運送が認められる場合があります。国は運賃の目安をタクシーの5割程度としていますが、運転手確保に向けて昨年12月に8割程度に引き上げています。
ドライバーの高齢化などで、都心部でもタクシー不足が深刻になるなか、訪日客を含めた利用者に安心・安全な移動手段を提供するためにもライドシェアの本格解禁を求める声が高まっています。地方の人手不足は深刻で、運転手を確保できずに交通空白地有償運送をやめる自治体も出てきています。地域の実情に合わせて、ドライバー確保に工夫を凝らす必要があります。

 

(2024年3月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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