ワクチン接種の主な副反応

新型コロナのワクチンでは、アナフィラキシーと呼ばれる重いアレルギー反応がまれに起きると報告されています。そのため、接種会場には、症状を抑える薬が用意してあります。また、筋肉痛や体のだるさは、よく見られる副反応です。これは、ワクチンが効いて体が抗体をつくれるようになるための準備段階とされています。痛み止めの薬を飲めば和らぐし、2、3日もすれば治ります。
もう一つが、血管迷走神経反射と呼ばれる副反応です。多くの人が接種を受ける中で、この副反応について誤解された情報が広がり、それによってさらに副反応が増え、結果として、有用なワクチンを接種する人が大きく減ってしまう恐れがあります。血管迷走神経反射とは、一時的に脳への血流が減り、立ちくらみのように床に倒れたりする症状のことです。心臓や血管の動きをつかさどる副交感神経が過剰に働くことで起きます。注射した直後に起きることが多く、針が刺さる前や、接種してしばらく時間が経ってから起きることもあります。
日本ではこの血管迷走神経反射が、子宮頸がんを防ぐためのHPVワクチンの接種で頻発しました。報道で不安が広がり、接種率の低下につながりました。不安を抱えた人が接種を受けて失神し、さらに不安を呼ぶ、という悪循環がみられました。報道やネット上の噂などで、不安が広がることによる副反応の集団発生は、インフルエンザやB型肝炎などの予防接種で繰り返し起きています。
血管迷走神経反射は、思春期でやせ形の女性で起きやすく、混雑した接種会場で立ったまま待たされることも発症の可能性を高めます。リラックスした状態で接種を受けられれば、リスクを下げられます。ソファやベッドで横になった状態で注射してもらえば、脳貧血になっても倒れて怪我をする心配はありません。このような副反応に対する正しい知識を持つことが大切です。

(2021年4月3日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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