一億総活躍プランに憶う―Ⅱ

 働き方改革としては同一労働同一賃金の達成を目指しています。同じ仕事をしている人は同じ賃金をもらえるようにすべきだとの考え方で、約2千万人に及ぶ非正規社員の待遇を底上げする狙いがあります。日本では、フルタイム正規労働者に対するパートタイム非正規労働者の賃金水準は57%であり、フランス89%やドイツ79%よりも低い水準にあります。
 政府は当面、日本の非正規社員の賃金水準をフルタイム労働者の8割程度に引き上げることを目指します。しかし、実際に賃上げするかどうかは各企業の判断によります。非正規の賃金を上げれば、企業の総人件費は増えてしまいます。仮に正社員の賃金抑制で財源を捻出すれば、正社員の反発を招くのは必至です。非正規の処遇改善ばかりが進むようだと、正規と非正規の労働者の対立を引き起こしかねません。

(2016年5月19日 日本経済新聞
(吉村 やすのり)

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