世界の労働賃金

 日本の賃金は減り続けています。OECDの統計によると、フルタイムで働く人の平均賃金は1997年の459万円をピークに下がり続け、2014年には400万円を割り込みました。主要国で、これだけ長く賃金が上がらないのは珍しくなっています。わが国の賃金ランキングは、1991年にOECD9位でしたが、2014年に19位まで落ち込みました。この間賃金水準は横ばいで、スペインや韓国にも追い抜かれました。
 日本のフルタイム労働者の賃金水準は2000年以降、ほぼ横ばいですが、韓国は上昇を続けて2007年に日本に並び、今や上回っています。経済の停滞とデフレが続いた日本は、国内総生産(GDP)が伸び悩んできました。ただ、GDPや企業の利益は平均賃金のように減ってはいません。生産性が上がっても、その分け前が働き手に分配されにくくなっています。転職市場が発達した米国であれば、賃金カットすれば働き手が逃げていくので、賃金は下がりにくくなります。市場の力で、伸びる産業や賃金が高い産業に人が移ります。欧州では、産業別に労使が職種ごとの賃金を決めて、労働組合が賃金を守っています。

The Asahi Shimbun Globe  June 2016
(吉村 やすのり)

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