人手不足

 ハローワークで仕事を探す人1人あたり何件の求人があるかを示す有効求人倍率をみると、宅配サービスなどを含む自動車運転は2.68倍です。介護サービス3.53倍や建設3.83倍の方が、人手を確保するのが難しくなっています。女性やシニアの活躍で、足元の労働力人口はわずかながら増えています。それでもいたるところで人手が足りないように見えるのは、業種の格差が大きいことによります。例えば一般事務の有効求人倍率は0.36、会計事務も0.73と買い手市場になっています。
 労働力調査によると、完全失業者195万人のうち、51万人は希望する種類、・内容の仕事がないと回答しています。働きたい人と働き手を求める企業のミスマッチが人手不足を増幅しています。女性やシニアの就業が一段と進むという楽観的な想定でも、労働力人口はしばらく横ばい圏をたどった後、2030年代には減少に転じます。宅配や介護などに人が集まらない背景には、低賃金の問題が横たわっています。しかし、ただ賃金を上げるだけでは、現場で音をあげる労働者を減らすことはできません。ロボットや人工知能などを活用した生産性の向上も必要です。

(2017年3月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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