企業におけるAI研究の加速

過去10年間のAIに関する研究論文を分析すると、ITだけでなく製薬・医療やエネルギー、自動車などの業種からも質の高い成果が出ています。あらゆる領域でデータ活用にAIは不可欠になっています。累積論文数の多い企業トップ10には、米国からIBM、マイクロソフトなど6社、中国からは国有送電会社の国家電網、テンセントなど4社が入っています。日本の最上位はNTTの12位です。

一般に論文発表をするのは大学や公的研究機関が多いのですが、AIは学術的な研究と産業応用の関連が深く、成果を積極的に公表する企業も多くなっています。10年間の企業別の累積論文数で首位だったIBMは、世界で約3,000人の研究者を抱え、AIを柱の一つに据えています。研究の質の面でも企業の存在感は増しています。
IT以外の業界で伸びが目立つのは、製薬・医療、エネルギー、自動車です。製薬・医療は、診断や創薬などでAIの応用が急速に進んでいます。エネルギー業界の上位3社は中国企業です。AIは自動運転だけでなく、開発や生産の効率化にも欠かせません。

AI論文で研究が活発になっている分野では、急速に増えたのは転移学習と深層学習です。転移学習は、ある目的で訓練したAIのモデルを別の課題を解く際などに転用して学習効率を高める手法です。現在のAIブームは深層学習の革新を発端に始まっています。畳み込みニューラルネットワークは、深層学習の一種で画像認識に広く用いられています。

(2023年2月14日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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