便と腸内細菌の医療への応用

近年腸内細菌に関する研究論文も増えてきています。慶應義塾大学などは、100歳以上の長寿者約160人の便を調べ、腸内細菌が作る特定の抗菌物質が多く含まれていると発表しています。この抗菌物質が腸内環境を健康に保つことで、長寿につながっている可能性があるとされています。
健康な人の便を移植し、腸内細菌のバランスを整えることで病気を治す便移植も、医療に応用されています。難病の潰瘍性大腸炎を便移植で治療する臨床試験を進めています。そのまま便を移植するのではなく、有害な菌などの検査をした上で、生理食塩水に溶かし、 濾過した液を大腸に注入します。従来の薬剤より治療効果が高い患者もみられます。
トップアスリート約750人の便を集め、分析した結果、アスリートの腸内細菌は一般の人に比べ種類が多様だということがわかってきています。特に駅伝選手では、免疫の働きに関わるとされる酪酸を作る細菌が豊富で、持久力と関係している可能性があると推論されています。

(2021年11月17日 読売新聞)
(吉村 やすのり)

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