安倍晋三首相は、1億総活躍社会に関する国民会議で、保育士と介護職員の賃金を引き上げる方針を表明しています。平均月額で保育士は約6千円、介護職員は約1万円の上げ幅を想定しています。経験のある保育士にはさらに上乗せし、最大で数万円程度の賃上げとする考えです。安倍政権は、待機児童ゼロや介護離職ゼロを目標に掲げ、保育や介護の受け皿を増やす方針を決定しています。しかし、保育士は2017年度末までに約9万人、介護職員は2020年代初頭に約25万人不足すると見込まれ、人材の確保が急務です。
賞与を含む女性保育士の平均賃金は、月26万8千円であり、全産業の女性労働者の平均より約4万円以上低いことが明らかになっています。来年度は保育士の賃金が月約6千円分上がるように500億円弱を充当します。さらに同程度の財源を確保して経験のある保育士に重点配分し、他産業並みに引き上げることにしています。この財源を来年度予算でどう捻出するのかは、今後の検討課題です。
（2016年4月27日 朝日新聞）
（吉村 やすのり）
