全ゲノム解析の本格運用

厚生労働省は、がんの個別化医療を推進するため患者の遺伝情報全体を網羅的に調べる全ゲノム解析の本格運用に乗り出します。特定のがん関連遺伝子を調べる遺伝子パネル検査に、公的医療保険が近く適用されます。しかし、限られた遺伝情報だけでは新しい治療を見つけたり、診断法や薬を開発したりするのは難しいとされています。3年間で10万人の解析を目標としています。政府は、全ゲノム解析を用いた研究と治療の具体的な実行計画を年内にまとめる方針です。
パネル検査では、100個以上ある患者のがん関連遺伝子を解析装置で一度に読み解き、がんにつながる変異がないか調べます。しかし、人間の遺伝情報を担うDNAは、30億個もの塩基の並びで構成され、2万~3万個の遺伝子を含むとされています。そのため、パネル検査を受けるタイミングに合わせ、全ゲノムの解析も同時実施するよう患者に促していきます。具体的には、パネル検査のために患者の細胞を検査施設に送る際、患者の同意を得て全ゲノム解析を実施します。得られた情報は、国立がん研究センター内にあるがんゲノム情報管理センターに集約します。全ゲノム解析をすることで、がんと関連する新たな変異が見つかる可能性があり、将来的な治療や創薬につなげます。

(2019年5月29日 毎日新聞)
(吉村 やすのり)

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